Cd0とセクション430の密接な関係続いて、セクション430 が CdW + CdV であり、またセクション1101で定義されている Cd0 と同じ単位を持つ量であることを検証しましょう。先ほど例に取り上げたジェットの *.air ファイルのコピーをつくり Machtest.air とでもリネームしてください。テストのために推力を増加しマッハ 0.8 まで到達できるように変更します。セクション 430 をすべて0に、セクション1101の Cd0 値を 30 に設定して、30000フィートでマッハ 0.8 きっかりで巡航するように加速してください。この条件をシチュエーションファイルに保存しておきましょう。今度は Cd0 を 0 に、セクション 430 は v4 を 30、ほかをすべて 0 に設定指定ください。そして先ほど保存しておいたシチュエーションファイルを使って再び巡航してみてください。機体はまったく同じスロットル位置で、まったく同じスピードで巡航するはずです。Cd0=30 で Cdmach=0 と同じ抵抗が発生しているわけですから v4 はマッハ0.8での抵抗、すなわち (CdW+CdV) であるわけです。このように、Cdmach は Cd0 と可換の量であるわけです。 参考までに、v4 と Cd0 をともに 15 に設定してみてください。先ほどの仮定が正しければまったく同じ結果が得られるはずです。 忘れてはならないのは、セクション 430 がマッハ数で定義されていることです。同様のテストを 5000 フィートで行ってみてください。高度が変われば指示対気速度も真対気速度も異なっていますが、マッハ数で表せば不変です。どうですか?同様な結果が得られているはずです。 では続いて、セクション 430 のデータが線形で補完されている点について考察してみましょう。まずは設定を変更せずにマッハ0.7で巡航してみてください。その後 Cd0=0、v3=0、v4=60 に設定して、もう一度マッハ 0.7 で巡航しましょう。考察が正しければマッハ 0.7での抵抗は、マッハ0.6 (v3) とマッハ0.8 (v4) の中間の値、すなわち 30 MDUとなるはずです。少し前に Cd0=30、v3=v4=0 とした場合と同じ速度になっているはずです。もしもこの考察についてまだ疑問をお持ちのようでしたら、条件を変えて実験を行ってみてください。セクション430 と Cd0の関連がおわかりいただけるはずです。 覚えておいていただきたいのは、この検証はあくまでも経験的な実験であって、証明するにはすべての場合について検証を行う必要があることです。 セクション 430 の意味するところ?ここまで読み進んでこられたかたはきっとがっかりされたことでしょう。MSFS シリーズにおいてはマッハ抵抗は 0.2 刻みのなんとも大雑把なモデリングしかできません。マイクロライト機から SR-71 にいたるまで、すべての航空機が 1x17 固定の校正曲線を使わなくてはなりません。 このようなフォーマットでは、臨界マッハ数を細かく設定するのに使えるのはv3 (マッハ0.6)とv4 (マッハ0.8) のみで、たとえば、臨界マッハ数が0.65〜0.75ですとか0.85〜0.95である機体を正確にモデリングすることは不可能です。 結局のところ MSFS シリーズではマッハ 0.6 以上の速度域にフライトエンベロープを持つような機体では非常に大雑把なモデリングしかできないことになります。*.airファイルSDKがいまだに公開されず、開発の主力がCFS2およびヘリコプター/ターボプロップのフライトモデルに移っているのはこれが原因だ、というのは邪推でしょうか? 最後に…最新版 AirEd.ini のセクション410〜433には意味をなさないエントリーが含まれているようです。たとえば 420 では、200kph 刻みで校正曲線が定義されていることになっていますが…
私が思うに、セクション420に付いて検証を行った際に、たまたまマッハ0.2=200kphとなる高度であったために誤った結果となったのでしょう。 このリサーチのように長々とした記事をフォーラムに投稿するのは骨の折れる仕事だと思います。しかし実験的な裏づけがなく、推論から結論を下すのは危険ですし、検証実験も困難となります。やはり、検証データないしは正当な理由を述べることにも時間を割いてください。 少々疲れました。続きは日を改めて投稿させていただくことにします。過去の事例にとらわれることなく、ぜひ皆さんで検証実験を行ってみてください。その上でこのリサーチのないように賛同されるか否かを判断していただければと思います。 Taildragger's Research Paper 1 翻訳第1版 2000/6/15 ご意見、お問い合わせはこちらまで |