Introduction to Flight Dynamics

By Rabbijah Guder

序章:イントロダクション

フライトダイナミクスの解説をはじめる前に、自己紹介しておきます。私は機械工学と数学を専攻し、現在、航空機ですとか人工衛星といった、複雑な系における定常運動を計算する方法に関する研究に携わっております。パイロットの友人はおりますが、私自身はパイロットではありませんので、実際の飛行機の操縦に関しては受け売りの知識しか持っておりません。以降の文章には技術用語が出てきますが、これは精密な .airフ ァイルを記述するための説明であって、航空機を操縦する知識については紹介できませんのであしからず。

.air ファイルは FS98 と CFS に関連したものですので、ここでは、二次大戦中のジェット戦闘機、メッサーシュミット Me262 B-2/U-1 を実例に取り上げました。このページのトップのグラフィックがそれです。このあとしばらく Me262 B-2/U-1 にお付き合いいただくので、気に入っていただけるといいのですが…。Me262 B-2/U-1 の .air ファイルは Abacus の FTP サイトにあります。ダウンロードして FS98 \aircraft か CFS \aircraft に解凍しておいてください。また Abacus の Flight Dynamics Editor を使って解説していきますので、お持ちでない方はダウンロードしておいてください。

*.air ファイルはとても複雑です。われわれもすべてを把握しているわけではありませんので、すべてを紹介することはできません。今回は精密なフライモデルを備えた機体を作成するために、最も重要なパラメーターを紹介します。では、紙上実験をしながらすすめていきましょう。

情報収集

精密なフライトモデルを作成するためには、まず情報収集を行いましょう。いろいろな情報源があるはずです。現代の航空機であれば、航空機メーカーから必要とされるすべての情報が得られます。インターネットに接続できるならば、航空機メーカーのホームページを覗いてみるのも良いでしょう。図書館や書店も非常に良い情報源です。集められるだけの情報を集めてみてください。全長、最大速度といった技術的な情報のほかにも、実際のパイロットの証言を探してみてください。Me262 B-2/U-1 は古い機体で、生産台数も少ないので情報を集めにくいかと思います。実際、たったの2機しか製造されなかったのですから…結局、インターネットを検索してみて、以下のようなデータが集まりました。

全長:42.71フィート(13.02メートル)

全幅:41.01フィート(12.50メートル)

重量:10,279/16,755ポンド (4.662トン/7.600トン)

発動機:Junkers Jumo 109-004B 静止出力 1,984ポンド (900キログラム) 2機

性能(最大速度):高度6000メートルにおいて約 835キロメートル/時、海抜0メートルにおいて 810キロメートル/時

あわせて、地元の図書館でも技術情報を集め、エンジンの設計値についての情報も得ました。技術情報はこれで十分ですが、飛行特性についての情報がありません。そこで、インターネットの航空機に関するディスカッショングループで助けを求め、情報を得ることができました。たとえば…

ブレーキと地上での特性

ブレーキは非常に貧弱で、このため地上での機体の取りまわしが困難であったそうです。

離陸速度と、初期上昇率

ブレーキが貧弱だったため、離陸は滑走によって行われました。滑走距離は他の一般的な航空機もやや長かったそうです。機首上げ速度は指示対気速度100mph(161キロメートル/時)で、離陸速度は120mph(193キロメートル/時)でした。

.air ファイルを編集する前に、手助けとなるものを用意しておきましょう。機体各部の精密な寸法を入力する必要がありますので3面図を用意しておきましょう。3面図を手に入れるのは難しいことが多いです。わたしは、側面図と上面図を用意しました。それから、各部の距離を測らなければなりませんから、定規を用意しておきましょう。フライトショップかエアクラフトファクトリー 99 を使って作った機体であれば、ビジュアルモデルから3面図を作ることができます。設計図を元に、縮尺を計算してください。図面の胴体の長さを図り、実機の胴体の長さで除算します(単位はフィート)。用意した Me262 B-2/U-1 の図面では 22.7 センチメートルでしたので、縮尺は 42.71 フィート÷ 22.7 センチ= 1.88 フィート/センチになります。各部の長さを知りたいときには、この値を元に計算してください。たとえば機首からコックピットまでの距離を知りたいのでしたら、定規で図面上の長さを測って、1.88 フィート/センチをかけて距離を求めてください。それからあとで必要になりますので、タンジェントが求められる関数電卓を用意しておいてください。

最後に .air ファイルを編集できるプログラムを用意してください。今のところ私の知る限りでは、.air ファイルを編集できるプログラムには2種類あります。ひとつは William Roth 氏作成の AirEd で、もうひとつは Abacus 社の Flight Dynamic Editor です。どちらも長所と短所がありますが、ここでは詳しい紹介はいたしません。以降、 Abacus 社の Flight Dynamic Editor を使うことを前提として進めていきます。

続き:地上での整備