今回提案するセクション 430 設定値

強い後退角をもたず、翼厚も標準的な機体について、セクション430を統一的にに以下のように設定するものとします。この提案の根拠はFS2000標準のセスナです。

   

Mach 0.0 

 0

Mach 0.2 

 0

Mach 0.4 

 0

Mach 0.6 

 1

Mach 0.8 

 15

Mach 1.0 

 80

Mach 1.2 

 70

Mach 1.4 

 65

Mach 1.6 

 62

Mach 1.8 

 60

Mach 2.0 

 59

後退角をもたず、翼厚が厚い機体では、マッハ 1.0 以上の数値は不要かと考えていますが、後退角付の機体について編集する際に必要になると思われるので、あらかじめ定義しておきます。また、あとあと考察を交えながら数値を増減させるために、ここでは5 MDU刻みに各数値を設定しておくことにします。マッハ 0.6 で 1 MDUとしたのは"ほんの気持ち"程度のことで、特に大きな意味はありません。

エンジンの種類はまったく無関係です。直線翼を持った2次大戦機と大戦直後に就役したジェット、そしてTu-20、Tu-114、ビーチスターシップを除いたほとんどすべてのターボプロップ機にこの設定を適応できます。

では検証してみましょう!

では検証実験を始めましょう。その前に、もし参考書をお持ちであれば翼厚12〜17%ぐらいで、直線翼機体の CdV+CdW のグラフを描いてみてください。先ほど私が提案したセクション 430 の設定値を裏付けてくれるはずです。翼厚の厚い機体に関して、マッハ 1.0 以上の抵抗は理論どおりになります。

どれでも結構ですので、*.air ファイルの正確な、ポスト2次大戦ジェット機を選んでください。バンパイヤや、初期の P-80 などが例です。案件になっているマッハ 0.6 から 0.8 の間に関する設定を確認するためにも、必ずマッハ 0.7 以上 0.8 以下の性能を持っている機体を選んでください。

まずは Cd0 の値を、非超音速機を参考にして決定してください。先ほどのバンパイヤや P-80 の例であれば、おおよそ 28〜32 と見積もっています。つい先日、EAW 用のアドオン機体の Cd0 に関して少々的外れな値が設定されていたと記憶しています。CFS 標準機体の Cd0 はあるときは正確でもあり、あるときは的外れでもあるので、比較の際には注意が必要です。

セクション 430 を 0,0,0,1,50,200 に設定した上で、水平巡航状態で到達可能な最高速度を確認してください。続いて 0,0,0,1,15,80 に変更して同様の実験を行います。どちらの設定の方がスペックシートどおりの速度になるか確認してください。私的な見解として、対象としているような直線翼の機体はマッハ 0.6 (Cd0+v3=31) から 0.8( Cd0+v4=45) に速度が上がる間に約 50% 空気抵抗が大きくなると見積もっています。これに対してフォーラムで以前提案されている手法ですと上昇率は 166% となります。Cd0 が 30 以上であるとして、カテゴリー1 機体に標準とされているセクション 430 の設定ですと、Cd0 が 30 以上となった場合ではいかなる高度においてもスペックシートどおりの速度に到達することができません。先にも述べましたがこれは、カテゴリー1の機体が常に遷音速領域以下の速度でテストされているからです。

マッハ 0.8 を超える機体についての実験は後日投稿する予定の記事までお待ちください。この中で、後退角のついた薄い翼厚の機体でセクション 430 の設定方法を提案する予定にしています。

Mmax は空気抵抗の総和以外の要素によっても決定されるようですが、Cd0 と CdW+CdVが適切であれば、スペックシートに記載された Mmax に到達が可能であるはずですから、ここでは Cd0、CdW、CdVに注目すればよいことになります。

実際に私の手法を試していただければ納得していただけるものと思いますが、結論としてカテゴリー1機体用として提案されているセクション 430 の数値はやや大きすぎると感じています。Beckwith 氏の編集された Sea Fury 用の *.air ファイルを例にとって見ますと Cd0が 31 となっています。CFS 標準機体で星型エンジン搭載の機体と比較して、Sea Fury が大きな正面面積をしていることを考えると、小さすぎるような気がします。これはマッハ 0.6で 1 MDU、マッハ 0.8 で 50 MDUとしたために (CdV + CdW) が大きくなりすぎ、Vmax のカタログ値に達するために Cd0 を小さくする必要があったためであると推測されます。

申し上げて置きますが、私は決して氏の評判を落とそうとしているわけではありません。氏の作成されたフライトレコーダーゲージがなければ今回のレポートは完成しなかったでしょうし、私のレポートを皆さんに検証していただくためにもフライトレコーダーゲージが必須です。氏はおそらく、セクション 430のうちどの値が v3 と v4 に相当するのかご存じなかったのだと推測されます。数ヶ月前に私はちょうど氏と同じ結論を得てしました。幸運だったのは v3 がマッハ0.6、v4 がマッハ 0.8という仮定が適切であり、(CdV+CdW) を調査するために使用した機体も適切であった点です。これについては後々記述いたします。

以上、ここまでに述べた仮定について検証実験を行いました。なお、後退角をもった薄い翼厚の機体に関しては後退角0の機体から修正を加えて派生させたものです。これについては後のリサーチペーペーで提案と検証を行うことにします。

続き:Cd0 とセクション430の関係